『爆笑問題の福島入門』観たよ、「頑張って」と言わないで問題

爆笑問題の福島入門
http://www.nhk.or.jp/bakumon/prevtime/20130318.html

爆笑問題がというか、太田光がこの原発問題に対してどう思っているのかが気になり、
ちょっと録画して観てみることにしました。

原発事故収束の拠点であるJヴィレッジの見学からこの番組は始まるわけだけど、
さすがに場所が場所だけに太田さんのボケは炸裂することなく番組は進行。

というか、ボケよりもなにより口数自体も少なかったように見受けられる。
田中さんは割と作業員さんに話しかけるなどして間を埋めている感じはしたけれど。

まあ、なんだかんだで緊張されていたのだろうなぁと想像に難くない。
この後に訪れた警戒区域内にある中学校の生徒達との触れ合いにおいては、
ようやく緊張から解放されたがごとく太田さんも結構喋ってたもんなぁ。



ま、そんなこんなで、番組では「福島の人たちはいま何を考えているのか」と題して、
爆笑問題と『風とロック』の箭内道彦を迎えて福島の人と議論を交わされていた。

それらを観て個人的に興味深かった部分を適当に書き起こしてみようと思います。


まずは、太田さんが原発に思う率直な意見。

太田 今一番大切なのは、稼動するしない関わらずですよ、今の時点であの安全性というのをもっと高める必要がある。つまり関わっていく。これはこの先何十年も関わっていかなきゃいけないっていうのは、もう認めなきゃいけないと思うんだよね、俺は。

田中 うん、守るためにね。

太田 原発NO!って言っても……

田中 そこで思考停止は出来ないってことね。

太田 思考停止はできない。それは東電がやった先送りと似てるんじゃないかって気がするんだよね。

箭内 まずね、太田さんがテレビでこういうことを言って、テレビの前でまた色んなことが起きていると思いますよ。ツイッター上でもなんでもね。

田中 あいつは原発推進派だって言われてるみたいにね(笑)

箭内 だから、そういう議論自体がね、今停止していることへの警鐘を太田さんがこうやって捨て身でねやってることの、こういう議論をしかもこういう雰囲気でね、していかなきゃなんない時だと思うんですよ。だからテレビを観てる方も「太田コノヤロウ、けしからん!」じゃなくて、太田の言うこともあそこは良いけど、もっと良い方法を俺は持ってるぜ、とかね。なんかそういう時に突入してると思いますね。

この太田さんの発言をそのまま原発推進の意見であると、
そのように考えるべきなのかどうなのか分からないけれど、
もし原発ゼロにしたにせよ、ずっと福島のことは考えていかないといけないわけで、
そういう意味ではほんと何百年先でも考えていかないとならない問題なのだとは思う。



それから、放射能から子供を守るということについて、
親としてはたくさんの葛藤があるという話を聴いてからの箭内さんの発言。

箭内 僕は、まあこの事故のあと一番感じるのは、健康被害とかそういうこと以前に、人をバラバラにする物質だなってすごく思うんですよね。賛成・反対、怖い・怖くない、立ち向かう・非難する、色んな人の間に溝をつくる、そのことの元だったということがそれが僕は一番怖いことだと思いますね。
人が人を信じられなくなったり、人と人が違う意見を持ったことで言い合いになったり否定しあったりってことを生んだのは、僕は放射能だと思いますね。

これはほんと考えさせられる問題だよね。
この放射能が今まさに出続けているという現実がほんとに恐ろしい。

人と人との対立を生んだ原因は人が生み出したものであるのにも関わらず、
人智を超えたモンスターになってしまっているとは…。



そして最後、「頑張って」と言わないで問題。

太田 「頑張って」って言わないでっていう話があるじゃない。俺すごいそれもどかしいなと思うんだけど。だって、「頑張って」って言うのはプレッシャーになるからって言うんだけど、その気持ち全部を否定することはないんじゃないって。「頑張って」っていう気持ちは分かるじゃない。別に「もっと頑張れ」って言ってるわけでもなくて、「頑張ってね」っていう、そのぐらいはやっぱり、相互理解できてない。

箭内 まあ、それは今だからそんな話が出来るようになったけど、やっぱり直後はほんとに傷ついてましたから全員が。あの『上を向いて歩こう』って歌を聴くだけで上なんか向けないですよっていうね、そういう時でしたよ。

太田 『上を向いて歩こう』を歌わざるを得なかったのは、日本中がやっぱり傷ついてたんだよね。東京では水を買い占めている人、こういうことはよくないからやめましょう、風評被害はやめましょう、そういう情報が来て、若い子なんかは家でずーっとそれを観てて、自分は金も無いし寄付も出来ない、なんかしたいけど何も出来ない、良いんだろうか? で、水も買っちゃったよ俺、怖くて買っちゃったけど、そこで今度はノイローゼみたいになる。東京ではそういう、それはそれでまた可哀想だったよね。自分を責めている人もいっぱいいましたよ。

田中 それこそ笑っちゃいけないんだ、みたいな。

これは何とも言えない問題ですな。
被害を受けてしまった人たちのことを考えたら、その気持ちも理解できることだしね。

風評被害によってノイローゼになった人達のことなどは、
実際に被害を受けた人にとっては非常に瑣末なことなのだと思う、たぶん。

あの時自分を責めていた人は今でも責め続けているのだろうか?
そういう声が被災地からは聞こえてきそうな気がする。



爆笑問題 - Wikipedia


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